「三門ちゃん、今年も一年ありがとうね」
「そうよ、三門ちゃんの祈祷のおかげで、本厄も無病息災だったんだから」
三門さんも嬉しそうにそれに答える。隣でそれを聞いていると、袖がくいくいと引かれた。振り返ると妖の子供たちが私を見上げている。視線を合わせるようにしてその場に屈んだ。
「巫女さまも太鼓ドンドンするの?」
「太鼓?」
「もうすぐドンドンするでしょ? 僕も太鼓やりたい!」
「僕もしたい、ねえいいでしょ?」
首を傾げながら話を聞いていると、三門さんが同じように子供たちの前に屈んで目を合わせる。
「日付が変わるタイミングで報鼓を打ち鳴らすんだよ。あれは僕と巫女さんの仕事だから駄目。皆、させてあげたら太鼓で遊ぶでしょ?」
頬を膨らませて「遊ばないもん!」と抗議した子供の額を、三門さんが笑いながら突いた。
「さあ、本当にそろそろ、報鼓を鳴らす時間だ。」
三門さんに手を引かれ、断りを入れながら人垣を抜け出した。