「……責めるわけがないよ。だって方法がないって言われていたのに、それでも三門さんは見つけてくれたんだから」

 「麻も三門も、なんて優しい子なんだろうね」


 ババは私のマフラーを結び直すと「行っておいで」と背中を押した。

 勢いよく玄関を飛び出す。三門さんが、袖手したまま月を見上げている。


 「お、やっと来た。それじゃあ行こうか」


 いつも通りの優しい顔で、三門さんは歩き出した。



 表はたくさんの人で溢れかえっていた。その中には、隠れるそぶりも見せないで堂々と出店を楽しむ妖たちの姿も見受けられ目を見開く。


 「み、三門さん。普通の人は、妖を見てもびっくりしないんですか」


 私が初めて妖を見た日を思い出した。何振りかまわず叫んでその場から逃げ出した記憶はまだ新しい。三門さんは悪戯に笑って「しー」と人差し指を立てる。


 「おもてらの社には特別な呪いがかかってるんだ。簡単に言うと、“受け入れ“の呪い。ここではどんなモノでも受け入れられるんだよ」


 三門さんに気が付いた人たちが駆け寄ってくる。人も妖も混じったその光景は、とても不思議で胸がどきどきするものだった。