「ここの御神木であるスギとは旧知の仲です。泰助さまには大変お世話になりました」

 「曾祖父が? ということは、君は隣町の木霊か」


 驚いたようにそう声をあげた三門さんに、彼は「そうです」と目を細めて柔らかく微笑んだ。

 どうやら三門さんも彼のことを知っているみたいだ。


 「麻ちゃん、彼は木霊と呼ばれる木の精霊だよ。三代前の神主だった僕らの曾祖父が、彼の宿る木に紙垂をかけたんだ」


 私の曾祖父、ということはお祖父ちゃんのお父さんということだ。たしか写真では見たことがあるけれど、会ったことはないはずだ。