客間に敷いた布団に寝かせたその男性は、先ほどからずっと小さなうめき声をあげていた。

 苦しそうに身じろいだ彼は、やがてゆっくりと目を開く。数度瞬きをして、そして布団を蹴っ飛ばして飛び起きた。

 そばにいた私は「わっ」と声をあげて、思わず仰け反って尻もちを付く。その声に驚いた彼が、同じように「うわっ」と悲鳴を上げて尻もちをついた。

 お互いに目を見開いて顔を見合わせる。新芽のような瑞々しい緑色の目と目が合った。


 すると突然背後からクスクスと笑う声が聞こえた。

 振り返ると、お盆にコップとお手拭きを乗せた三門さんが、片手で口元を押さえてそこに立っている。


 「ごめんね、おかしくて、つい」