今朝のお味噌汁の具材はわかめと玉ねぎになった。

 ほんのりと甘くなった玉ねぎをほくほく顔で咀嚼していた私は、ふと何かが聞こえたような気がして、お箸を持ったまま首を傾げる。


 「どうかした?」

 「あの、今……」


 また何かが聞こえる。もう一度しっかりと耳を澄ませば「────もう、たのもう! どなたかおられるか」という、人の声が聞こえた。

 たのもう? なんだか道場破りが始まりそうなセリフだ。


 「本殿の方からみたいだね」


 箸と茶碗をテーブルに置いた三門さんが立ち上がる。私も行きます、と慌てて立ち上がった。