こんなに悲しい時でも、三門さんの声は朗々としていてとても清らかだった。それがなんだ泣きたくなるほどに切なくて、苦しかった。


 じっと典子さんの顔を見つめる多聞の体が、少しずつ淡い光を放ち始める。

 集まった光は木漏れ日のように強い光を放ち、そして多聞の姿と一緒にゆっくりと消えていった。


 「『────諸々の禍事罪穢を祓い給い 清め給えと 白す事の由を 天津神・国津神・八百万の 神等共に聞し食せと 恐み恐み白す』」


 パンッ────、と柏手をひとつ打った三門さん。それと同時に、典子さんの瞼がゆっくりと開いていく。


 「三田さん、大丈夫ですか?」

 「なんだか、頭がぼんやりするわ……」


 体を起こす典子さんに手を貸して、そっと背中を支えた三門さん。