三門さんは多聞の目をまっすぐに見て口を開く。


 「……君が典子さんに憑いて、時生さんに化けていることを知った以上、このままにはしておけないんだ。君が時生さんとして過ごした三ヶ月間は、本当はあってはならない時間だった。だから憑いた君を引き離して、この三ヶ月間をなかったものにしなければならない」


 多聞はひとつ頷いて、分かってる、と小さな声で呟いた。


 太ももの上で掌を握った。胸が苦しい。

 だって、こんなお別れはあまりにも悲しすぎる。


 「……三門さん」

 「駄目だよ麻ちゃん。昨日の夜に言ったでしょう」


 私が次の言葉を言い出す前に、三門さんは険しい顔でそれを遮った。