「この子、抱っこしておいてもらえるかな。典子さんが目を回して倒れちゃったみたい」


 私の肩越しに後ろを見た三門さん。

 つられるように振り返れば、典子さんが畳の上で倒れていた。


 慌てて手を差しだし妖狐を抱きかかえる。中型犬くらいの重さで、とても抱えきれずに膝の上乗せることにした。

 妖狐のその小さな頭を労るようにそっと撫でた。