刹那、時生さんの体からポンッ────と真っ白な煙が上がる。

 小さな悲鳴を上げてぎゅっと目を瞑った。掴んでいた時生さんの腕が私の掌の中で徐々に形を変えていき、するりと離れた。


 恐る恐ると目を開ければ、煙が少しずつ薄れていきその中から人影が現れる。


 「ふたりとも、大丈夫?」


 煙の中から現れたのは、腕に何かを抱きかかえた三門さんだった。


 「み、三門さん……?」


 目を見開いて名前を呼ぶ。

 その腕に抱きかかえられていたのは、黄土色の毛を持つ狐だった。ぐったりとした表情で目を瞑っている。


 「狐、ですよね……?」

 「うん。でも正確に言えば、時生さんに化けていた妖狐だ。麻ちゃん、ちょっと」


 手招きされてそっと歩み寄る。