「三門さんから、おすそ分けです」

 「まあ嬉しい! どうぞ上がって」

 「あのっ」


 不思議そうな顔で典子さんが振り返る。


 「……時生さん、いらっしゃいますか」

 「あら、時生とお友達なのね。庭にいるんじゃないかしら。さあさあ、どうぞ」


 嬉しそうに微笑んだ典子さんが私の背中を押して中へと促した。

 足を踏み入れ、疑惑が確信へと変わる。間違いなく夢で見たあの家の景色だった。


 典子さんに連れられて廊下を歩いていると、半開きになった障子から仏壇が見えた。

 そこに飾られていた写真がちらりと見えて、私はそっと目を伏せた。


 「時生、貴方のお友達が来てくださったわよ」


 居間に案内された。典子さんは庭側の障子をあけながら声をかける。