河原沿いを駅の方へニ十分くらい歩き一本道を行くと、瓦屋根の大きな家が見えてくる。三田さんの家だ。
紙袋を胸の前できゅうっと抱きしめ、意を決して歩みを進める。
扉の前に立つと小さく息を吐き、インターホンを鳴らした。家の奥から「はーい」と返事がして、数秒後に扉が開く。
典子さんが顔を出した。
「あら? 結守さんの巫女さん……えっと、麻ちゃんよね」
「こ、こんにちは……」
「はい、こんにちは。どうしたの?」
微笑みながら尋ねる典子さんに、慌てて手に提げていた紙袋を掲げる。
中には先頬準備した、稲荷コロッケの入ったタッパーが入っている。



