「僕たち、少しだけ席を外しますね」
稲荷コロッケを食べ終えると、三門さんはぽんと膝を叩く。
「あら、ふたりしてどこ行くの?」
「三田さんのお見舞いです。開門祭の時、体調を崩されたみたいで」
納得したように頷いたおばあさんたちは、途端悲しそうに顔を曇らせる。
「息子さんがあんなことになってから、よく体調を崩しているみたいね」
「最近はおかしなことも言うようになったって、ヘルパーさんが言ってたわよ」
私たちは顔を見合わせる。ひとつ頷いた三門さんは「それじゃあ行ってきます」と告げ立ち上がった。
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