「村松さんのところの稲荷コロッケ、大好きなのよねえ」
「私もなの~。最近は菊寿のパイナップル大福もお気に入りなのよ~」
まるで女子高生みたいな会話に、思わず微笑んでしまう。この町の人たちは元気で明るい人が多いなとつくづく感じさせられる。
「麻ちゃんどうしたの? 全然食べていないじゃない!」
「若いんだからしっかり食べないと!」
ほらほら、と取り皿に山盛りに乗せた稲荷コロッケを渡されて目を白黒させる。
「あら、足りない?」と首を傾げるおばあさんに、慌てて首を振り手を付ける。
満足げに笑ったおばあさんは、また楽しそうに会話を再開した。



