社務所に戻って全員分のお茶を淹れ、冷蔵庫の中に入っていた稲荷コロッケを温め直す。
お皿に盛りつける三門さんは、残ったふたつだけはタッパーに取ると、それを紙袋の中へ入れた。
「これをたべたら、出発しようか」
「……はい」
眉間に皺を寄せて頷けば、三門さんは申し訳なさそうに目を伏せて私の頭に手を置いた。
紙袋と盛り付けた皿をもって外に出れば、皆は本殿前の段差に座って談笑していた。
「あっ、やっと帰ってきた!」
「三門ちゃん遅いわよ~」
肩を竦めた三門さんは「はいはい」と笑いながら歩み寄っていく。
ここに座って! と促されて、おばあさんたちの隣に腰掛けた。



