「丁度良かった、これから茅の輪作りなんだ。手伝ってほしいな」
「ちのわ……?」
「そう。この草で、人が通れるくらいの大きな輪っかを作るんだ。三十一日に行う『年越の大祓』という神事で、皆で茅の輪をくぐるんだよ」
へえ、と目を丸くしながら頷く。
今までは大晦日の日に神社へ行ったことがなかったので、そう言った神事があることを知らなかった。
「茅の輪をくぐることで邪悪な穢れを祓い、災難を予防するんだ」
そう言った三門さんは「あ」と声をあげて走り出す。
恰幅の良いおじさんたちによって、大きな輪っか状になった鉄パイプか運ばれてくるところだった。
「ご苦労様です。そのまま本殿の前に運んでください」



