箒を持って外へ出た。
一度本殿に立ち寄ってユマツヅミさまに挨拶をしてから、社頭を端から掃いていく。
ぬかるんだ地面に小さな足跡を見つけ、ふと頬が緩む。
犬の足跡に似ているが、少し爪の長いこの足跡はすねこすりの足跡だ。
昨日はあのあと、鬼の子どもがすねこすりを囲っていた柵を倒してしまい大騒ぎになったのだ。
幸い社の外へは出て行かなかったもののみんな何度も転ばされ、ババに至っては腰を痛めてしまったのだ。
わざとではなかったみたいで注意だけで済んだけれど、もしわざとだったなら『お母さんより怖い三門さん』が見れたのだろうか。
そんなことを考えて小さく噴き出す。



