くすくすと楽しげに笑う母親に、男性は目を弓なりにした。夜空を指さし「ひとつ、ふたつ」と数えてみる。 どれを数えたかなんてすぐに忘れてしまうけれど、この時間が続くのならばずっとずっと数えていたい。 ひとつ、ふたつ、みっつ。 せめて、一万の星を数えきるまではこうして傍にいてやりたい。 よっつ、いつつ、むっつ。 時間が穏やかなに流れるこの街で、なくしたものを取り戻すように、ポッカリとあいてしまった心の穴を埋めていくように。 ふと胸の中にそんな感情が生まれ、はと我に返る。