ふと、先ほど三門さんと子どもたちが歌っていた歌が気になり、口を開く。
「あの、妖狐が何とかって、一体なんですか?」
「妖のわらべ歌だよ」
わらべ歌? と聞き返し、三門さんはひとつ頷くとすうっと息を吸った。
────お星さん昇った 遊びましょう 妖狐こんこんこんばんは お月さん沈んだ また明晩 提灯小僧とはよ帰ろ お日さん照った ねんねこりん 目目連の子守歌
赤ちゃんをあやすような柔らかく優しい声が旋律を奏でる。柔らかな布に包まれたような心地よい声だった。
思わず目を瞑って、聞き入ってしまっていた。
「妖たちはこの歌が大好きなんだよ」
目を細めた三門さんの横顔をぼうっと見つめる。



