その子も弟と同じように、額をつんとはじかれた。
「それからお兄ちゃんもね、弟と仲良くすること。大切な家族に手をあげちゃいけないよ」
ふたりの目を見ながら「分かった?」と尋ねた三門さん。ふたりは顔を見合わせて、そしてひとつ頷いた。
「さあ、行っておいで。『お星さん昇った 遊びましょ』」
突然歌い始めた三門さん。妖狐の兄弟の瞳が輝く。
「『妖狐こんこん』」
「『こんばんは』!」
三門さんに続けて歌った子供たちは満面の笑みを浮かべると、手を取り合って走って行った。
「人も妖も、子どもがわんぱくなのは一緒だね」
その背中が見えなくなって、三門さんはやれやれと肩を竦める。私は思わず小さく噴き出した。



