あやかし神社へようお参りです。



 「で、でも憑いてないっ。油揚げ貰っただけだもん!」


 唇を突き出して強気にそう言った弟の狐。三門さんはその額をツンとはじく。


 「確かに憑いてはいないね、でももし君のその妖力で、君に優しくしてくれた人を傷つけてしまったらどうする?」


 じっと目を見つめてそう言った三門さんに、その子は目を見開いた。


 「陰陽師の力が妖に害を与えるように、妖の力が人に害を与えることもあるんだよ。君はまだ、お母さんのように変化が上手にできないだろう? 人と仲良くするな、とは言わないよ。でもそれだけは忘れないで」


 三門さんの真剣な眼差しに、言葉以上の何かを感じ取ったのだろう。

 涙を拭ってはい、と頷いたその子の頭を撫でた三門さんは、今度は勝ち誇ったような表情を浮かべるお兄ちゃんの方に向き直る。