先ほどと同じように、屋台を楽しみながらぶらりぶらりと歩いていると、遠くから三門さんの名前を呼ぶ小さな影がふたつ、こちらに近付いてくるr。
「三門さま、ねえ三門さま、聞いてよ! こいつ、人間に憑いたんだよ!」
「なんだよ、放せよ兄ちゃん! 違うもん、知らないもんっ」
兄弟の妖狐だろうか。
茶色の耳を生やしおそろいの着物を着た子供がふたり、三門さんに走り寄った。
手を引っ張られてきたのはどうやら弟の方らしく、ふくれっ面で掴まれた腕を振りほどこうともがいている。
三門さんがふたりの前にしゃがみ込む。
「こいつ、最近全然おれと遊ばないから、何してんのかなって後をつけたんだよ、そしてらさっ」



