「三門の旦那、やもりの素揚げ買っていきなよ!」
「……それはちょっと遠慮しとこうかな。代わりにそこのいか焼きをみっつ欲しいな」
強面の角を生やした妖が「はいよ」と私たちにひとつウィンクすると、手際よく袋にみっつ詰めて渡した。
親し気に話す様子からして顔見知りらしいが裏の社では見かけたことがない。そんな妖が他にもたくさんいて、「開門祭」には多くの妖が来ていた。
いか焼きを頬張りながら、いつも以上に活気のある参道を歩く。
普段見かけない屋台もたくさん出ていて、なんだかワクワクする。
「麻ちゃん、見てあれ。すねこすりとのふれあいスペースだって」
「すねこすり……?」



