「なにか、私にお手伝いできることはありますか……?」
「うーん、実を言うと門を開ければ僕たちはいつもと同じで、ほとんどすることがないんだ。だから、一緒に祭りを見て回ろうか」
私の腕からみくりを抱き上げた三門さん。みくりが迷惑そうに身を捩り、その腕から飛び出す。
「おいっ、私は飼い狐ではないのだぞ! いつまで抱きしめる気だ、鬱陶しい!」
「だって寒いしさ」
そう唇を尖らせた三門さんを「喧しいわっ」と怒鳴りつけたみくり。背中の毛を逆立てると、颯爽と走り去っていった。
思わず腕に抱いていたふくりを見下ろす。
「私は構わないよ。麻の腕は暖かくて心地いいからねえ」
ほっと胸をなでおろせば、三門さんは楽しげに笑った。



