私が首を傾げていれば、ふわあ、とひとつ欠伸をしたふくりがおもむろに口を開く。
「妖たちはおもてらのお社が好きだからね。社の門が開く日は、妖にとっては特別な日なんだよ」
「そうなんだ……あ、三門さん」
妖たちに囲まれている三門さんを見つける。様子を窺っていると目が合って、笑顔で手招きされる。
「あっ、巫女さま! おめでとー!」
「こんばんは、巫女さま。おめでたい日だね!」
三門さんの側にいた子供たちがわっと駆け寄って私の背中を押す。
「こんばんは麻ちゃん、疲れてない? 大丈夫?」
歩み寄るなり心配そうに眉をひそめた三門さんに、慌てて「大丈夫です」と返す。
昼間の開門祭が終わってからたっぷりお昼寝をさせてもらって、さっき起きたばかりだ。
そっか、と安心したように息を吐いた三門さんに微笑む。



