「おやおや、これは。巫女さまに神使さま方、今日は大変おめでたく」
みくりとふくりを両腕に抱き、昼間かと思うくらいに明るく賑わう社頭を歩いていれば何人もの妖からそう声をかけられた。
みくりが少し威張ったように「おめでとう」と返し、ふくりも嬉しそうに尻尾を振るので、私もなんとなく頭を下げる。
満足げに笑った妖が去っていき、私は思わず尋ねた。
「あの、どうして『おめでとう』なの……?」
「何を言っておる、門が開いたからに決まっているだろう!」
ふん、と鼻を鳴らしたみくり。余計に疑問が増える。
みくりの言う『門』は、おもてらのお社の門のことだろう。しかし門が開いたことが、どうしておめでたい事なのだろうか?



