「そちらの可愛らしい巫女さんが、ここへ連れてきてくれたの」
後の方に立っていた私と目を合わせたおばあさんが、柔らかく微笑んだ。
「あれ、三田さん、麻ちゃんと会ったことがないの?」
不思議そうに目を瞬かせた三門さん。私とおばあさんは顔を合わせて首を捻る。
ここへ来た数日を思い出してみるが、やはりこのおばあさんと会ったのは今日が初めてだ。
「……おかしいなことが起っているね」
少し険しい顔を浮かべた三門さんが、かろうじて私にも聞こえるくらいの声でそう呟く。
「……三門さん?」
「ん、いや、なんでもないよ。三田さんは僕が送って行こう。麻ちゃんは留守番をお願い」
いつもどおりの表情で笑った三門さんはおばあさんの手を取ると、声をかけるまもなく歩いていってしまった。



