だから見回りをして、誰もいない状態にしなければならないのだ。
ふたりで階段を降りて行くと、紙垂の張られた鳥居の前に沢山の人が集まっていた。開始祭を見に来た表のお社の参拝客たちだ。
「ねえねえ、もうお社に入っていいのー?」
このあたりに住んでいる子どもたちが、三門さんのもとに集まってくる。
「まだ駄目だよ、七日間出てこれなくなっちゃうよ?」
「それ言い伝えでしょ!」
「ほんとは違うんでしょー?」
子どもたちに合わせて屈んだ三門さんは、苦笑いを浮かべてその小さな頭を撫でた。
立ち上がった三門さんに小さく頷く。鳥居の下に用意していた机の上から大幣を手に取り三門さんに渡した。
「さあ、始めようか」



