翌日のお昼前。
「社務所の裏はよし、と」
きょろきょろと辺りを見渡しながらひとつ頷くと、また歩き出した。
社務所、授与所の裏を回って歩いていると、神楽殿側から歩いてきた三門さんと合流する。
今日はいつもの浅葱色の袴の上から狩衣を着て、烏帽子をかぶっている。神事用の装いだ。
「大丈夫だった?」
「はい、誰もいませんでした」
三門さんはぐるりと辺りを見回して「それじゃあ、僕らも外へ出ようか」と微笑んだ。
今日はもうひとつのお社、『おもてらのお社』を開ける日だ。
そして私たちはおもてらのお社を開けるべく、その準備を進めていた。
おもてらのお社は、一度開けると自動的に表と裏のお社が閉ざされてしまい、そこにいた者は七日間の間、お社から出てくることができなくなるらしい。



