ふん、と鼻を鳴らしたババに、よくわからないが「三門さんは悪くないよ」と弁護しておく。
大きなため息を零したババは、「いいかい?」と人差し指を立てた。
「妖が参拝する『裏のお社』も人が参拝する『表のお社』も、どちらも同じ結守神社ではある。けれど、妖も人も巫女と神主に招かれるか、特別な入り方を知らない限り、お互いに反対のお社へは入れない仕組みになっているんだ」
脳裏に普段の神社の様子を思い浮かべた。
時間が時間なだけに人が来ないのかもしれないが、たしかに裏のお社が開く時間に社頭で人の姿を見かけたことがなかった。
反対に、日中はババ以外の妖を見かけたことがない。
それじゃあ、葵と表の鳥居で待ち合わせをした際も、私が葵を「招いた」から、妖である彼女は表の鳥居から裏のお社へ入ることが出来たということになるのだろうか。



