「なんだ、三門の坊やはまた何も教えていなかったのかい! たく、あの子は本当に仕方のない子だね」
そう独り言ちたババに、私は一層首を傾げた。
ババは数歩歩くと振り返って手招きをした。慌てて横に並んで歩き出す。
「今日は開門祭の準備をする日なんだよ」
「開門祭……?」
そうさ、とババがひとつ頷く。
「表の鳥居は表のお社へ、裏の鳥居は裏のお社へつながっていて、表から裏、裏から表へはいけないことは知っているね?」
私が首を振れば、ババは自分の額に手を当てた。
「本当に何も教えてもらってないんだね。知らなければ麻が危険な目に遭ってしまうかもしれないに、あの三門の坊やは全く! あとで説教をしてやらないといけないねえ」



