「ああ。なんだ、こんなところにいたのかい」


 振り返るとそこにはあのおばあさんの姿があり、ほっと息を吐く。


 「三門の坊やが呼んでいたよ。一緒に行こうか」

 「あ、ありがとう、おばあさん」

 「おばあさんだなんて照れくさいじゃないか。ババでいい、みんなそうよんでいるんだ」


 ちょっとこそばゆい気持ちで一つ頷けば、しわしわの手で頬を撫でられる。目を細めながらそれを受け入れる。


 「あの、ババ、ひとつ聞いてもいい?」

 「ああ、もちろんいいとも。どうしたんだい」

 「今日って、お祭りなの……?」


 手を止めたババは「え?」と目を瞬かせる。数秒後、呆れたように溜息を零すと、やれやれと肩を竦めた。