三門さんが柏手を打ったその瞬間、霧が晴れるように消えていく。

 少年がゆっくりと目を開ける。三門さんに支えられて体を起こすと、苦しそうに大きく咳き込んだ。


 片手でコップに荒塩を入れた三門さんは、少年の口もとにそれを持って行く。

 全て飲み干し「しょっぱい」と顔を顰めた少年の額をつんとはじいた三門さんは、呆れたように息を吐いた。


 「これに懲りたら、もう裏の鳥居の側で遊ばないこと。分かった?」

 「……ごめんなさい」


 すっかり反省した様子の少年の頭をポンと撫でると、三門さんは少年を抱きかかえて立ち上がる。

 社務所に戻ろうか、と声をかけられ一つ頷き立ち上がった。