頼まれたものはすぐに見つかり、直ぐに本殿へと駆けつけた。開きっぱなしになっていた本殿の中に入って、素早く戸を閉める。
祭壇の前には少年が横たえられていて、その前には三門さんが座っている。
三門さんの隣に頼まれたものを置いて、斜め後ろに座った。
祭壇に向かって深く頭を下げた三門さんは、すっと息を吸う。
「────神の御息は我が息、我が息は神の御息なり。御息を以て吹けば穢れは在らじ。残らじ。阿那清々し、阿那清々し」
朗々とした声で、祝詞のようなものを三度唱えた三門さんがふっと強く息を吹いた。
その時、少年の体が打ち上げられた魚のようにびくんと飛び跳ねる。「わっ」と声をあげた次の瞬間、少年の体から黒い煙がぶわりと吹きあがった。