「そういえば、三田さん元気そうだった?」


 もぐもぐと口を動かしていれば、唐突にそう尋ねられた。

 三田さんというと、先ほど三門さんに頼まれて回覧板を届けたお家の人だ。


 「ずっと体調を崩されていたみたいだから。一人暮らしだし、少し気になっていて」


 首を捻りながら先ほどの事を思い出す。

 実を言うと、三田さんの家へ行く前に三田さんと偶然出会ったのだ。



 『こんにちは、うちへ何か用かな?』

 三田さんの家へ向かう途中、一本道を歩いていると後ろから声をかけられた。

 癖のある髪が印象的な三十代くらいの男性が立っていた。

 男性は一本道の先を指さす。


 『この先、僕の家しかないから』

 『あ……回覧板、頼まれて』

 『ああ、そう言うことか。わざわざありがとう』