「自分の髪を賭けに使っちゃいけない! 呪いの用途で使われてしまえば、報いを受けてしまうのは麻ちゃんなんだよ!? 妖は約束を違えない生き物だけれど、善良な妖ばかりじゃないんだ!」


 普段は絶対に聞かないような声量で声を荒げた三門さん。

 驚いて目を瞬かせる。


 「無事でよかった……」


 三門さんは深く息を吐いて私の頭を撫でる。

 険しい顔をやめて困ったように微笑むと、「お仕置き」と呟いてから私の額を人差し指で軽くはじいた。


 「ろくろ首」


 人ごみの中に紛れ込もうとしていた明里を呼び止めた。

 ぎくり、と肩を震えさせた明里は、引きつった笑みを見せながらゆっくりと振り返る。