｢何者でもいいから、傍にいて欲しかった。そんなふうに言ったら、彼女を責めているように聞こえるのかな｣


　その切なげな声は、ひどく私の胸を締め付けた。


　どうしてこんなにも大切に思っているのに、マサシさんの目に映らなくなったんだろう。

　葵だってマサシさんを、あんなにも深く想っているのに。

　どうして、ふたりがこんなにも悲しい思いをしなければならないんだろう。

　あまりにも、あまりにも酷じゃないか。

　ふたりが報われないじゃないか。


　「ごめんね、こんな話に付き合わせてしまって。おかしなことを言っていると思うだろう？　僕もそう思うよ」


　そう苦笑いを浮かべたマサシさん。