「顔つきが優しくてふっくらしているのが、ふくり。猫目で背筋がしゃんとしている方が、みくり。どちらもこの神社の神使だよ。可愛がってあげてね」
そういって穏やかに笑った三門さん。
石像を可愛がる? と怪訝な顔を浮かべたが、すぐに「私の緊張を解くための冗談を言ってくれているだ」と気が付き、私は素直にひとつ頷いた。
「今日は麻ちゃんも疲れているだろうし、社頭────社殿の前の案内はまた明日にするね」
ありがとうございますの意味を込めて頭を下げる。
参道からそれて本殿を通り過ぎると、少し小さめの家屋の前に来た。本殿と同じ茅葺きの、木でできた建物だ。
「ここが自宅兼社務所だよ。表の横開きの扉は参拝者用の入り口だから、入るときは裏の扉からね」