そう言って運転席から降りた三門さん。
私も慌てて車から降りた。
「……ッ!」
車の影から出た途端、目の前に大きな朱色の鳥居が現れ思わず息を飲んだ。
そしてその鳥居の奥を守るようにして植えられた大きな木々が、風でざわざわと揺れている。この森の続きは山になっているらしく、見下ろすように雄大な景色が続いていた。
いつの間にかトランクから私のキャリーバッグを下ろしていた三門さんが、私の隣に並んでいた。
「鎮守の森って言うんだよ。神殿や参道を囲むようにして維持されている森林でね、隠世と現世の境目の役割になっているんだよ」
────カクリヨとウツシヨの境目。
胸の中で繰り返しながら、何処か恐ろしさをも感じさせる鎮守の森を眺めた。
ざわざわ、ざわざわ。木々が揺れている。