求めれば求めるほど、きみを苦しませている気がしてた。


知りたいと思うのは、傍にいたいと思うのは、俺の一方的な気持ちに過ぎない。


危ういから、心配だから。

どれも違う。


誰よりも海月が弱いということを俺は知っているから。




球技大会から二日目の夜。久しぶりに弟と家の中で会った。


「兄ちゃん。やっぱり母さん役員会議引きそうだって。晩ごはんどうする?適当に食べてって連絡きてたけど」

「んーカップラーメンでよくね?」

「じゃあ、お湯沸かすから先に進んでて」


俺はソファーに寄りかかってコントローラーを動かす。

プレイしてるのはゾンビを倒していくサバイバルゲーム。意外と奥が深くて中毒性が高いらしいけど、俺は弟と違ってゲームにのめり込んだりはしない。


「兄ちゃん味噌でいい?俺醤油がいいんだけど」

弟がお湯を入れたカップラーメンを持ってきた。母さんがいる時には絶対許してもらえないソファーの上で今日は食べるつもり。


「うん。これ3分?」

「5分。あ、なんでそっちに進んでんの?ゾンビうじゃうじゃいるから絶対死ぬルートだよ」

「まじで。じゃあ、早く助っ人にきて」


リビングに激しいゲーム音が鳴り響く。

弟と普段から密な会話はあまりしない。こうして一緒にゲームはやってもお互いの近況報告はしたりしないし、学校のことも聞かない。

でも最近、気になることがひとつだけある。



「なあ、お前、バイトしてるだろ?」

尋ねた瞬間に、画面にいる弟のキャラクターが動きを止めた。