「っていうか最後、岸さんが取ってれば繋げられたよね!」

試合が終わってすぐに、同じチームだった女子が言う。


「本当、本当。やる気ないなら出なくていいし、むしろ役立たずで邪魔だった」


私以外の人たちもたくさんミスをしていたし、どんなに粘っても点差が広がりすぎて明らかに追い付くことは不可能だった。でも、負けたことをなにがなんでも私のせいにしたいのだと思う。


その不満が人から人へと伝染して、最終的にはクラスメイトの女子全員から私は睨まれてしまった。

そんな空気に耐えられるわけもなく、私は逃げるように体育館を出る。


……あれは拾わなかったんじゃない。拾えなかったんだ。


飛んできたボールさえも霞んで見えてしまうなんて、頭の爆弾のせいで色々なところが壊れていく。

ズキン、ズキンと波打つ痛み。

もうどこが痛いのか分からないけど、視界がチカチカするし、少し休まないとヤバいかもしれないと、私は人気のない校舎へと入った。


教師や生徒が出払っている校内はとても静かだった。

保健室はケガをした誰かが来そうだし、非常階段は外だから寒い。どうしようと、とりあえず教室へと向かっていると、一組から人の声が聞こえてきた。