体育館にはすでに白いネットが張られていた。中央で間仕切りされた空間には四つのコートがあり、同時に四試合ができる。私たち一年一組の対戦相手は同学年の五組だった。

一回戦に出るチームには美波がいて、「頑張ろうね」とみんなにリーダーのように声掛けをしている。

私はそんな雰囲気を遠ざけるようにして応援組が待機する舞台の端にちょこんと腰を下ろした。


審判の先生が配置につくと体育館にホイッスルが鳴り響き、各コートで試合がはじまった。

「頑張れー!」「落ち着いて!」と、一致団結するクラスメイトたちを横目に、私はやっぱり浮いていた。


結果は美波を中心に勝利して、私たちのクラスは二回戦目に進むことになった。


「ねえ、次って岸さん出るんでしょ」

誰かがぼそりと呟く。


「うわ、実質6対5じゃん。せっかく美波が頑張って勝ち抜いてくれたのに、負けたら最悪なんだけど」


そんな会話に聞こえていないふりをして、私はコートに立った。


クラスメイトが言っていたとおり、私が出た二回戦目はあっさりと負けた。相手が三年生で、しかもバレー部がふたり。

私以外の人はボールを懸命に繋いでアタックしてたけど、私がボールに触れたのは自分のサーブの番が回ってきた時だけだった。