今日のバイトは四時間。かけそばが半額の日なので、近所の人たちがひっきりなしに訪れた。


「お疲れさまです」

バイト終わりのロッカールームで三鶴くんと鉢合わせ。彼は皿洗い担当の私とは違い、忙しそうに接客しているから基本的に仕事中は顔を合わせることはない。


「……うん。お疲れさま」

私は上着を羽織りバタンとロッカーの扉を閉めた。

清子さんや将之さんとふたりきりになってもそれほど困ったりはしないけど、三鶴くんとは歳が近いからか妙な気まずさが生まれてしまう。


……苦手だ、こういう静かな空気。


さっさと帰ろうとカバンを肩にかけたところで、「ねえ、ふたりとも晩ごはん食べていかない?こっちのミスでかけそばが二杯出ちゃったの」と、清子さんが慌てて呼びにきた。


「えっと私は……」

「食べます。めちゃくちゃ腹ぺこです」

私の言葉を遮るように三鶴くんが重ねてきて、完全に断るタイミングを逃してしまった。