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怖いものは、こう見えていっぱいある。
すぐ吠える犬。
突然のクラクションの音。
前触れもなく発生する静電気。
でも、一番怖いのは、自分と違いすぎるもの。
キラキラしたもの。
可愛いもの。
すぐに壊れる繊細なもの。
あと――佐原。
佐原は怖い。
暖かいより、熱くて。
日陰よりも日向が似合って、私をすぐに見つけてしまう。
関わらないでほしい。そうやって迷惑そうにしたって、あいつはめげない。
なんであの日、佐原なんかに頼っちゃったのかな。
なんで、あの日……。
『お前、泣いてたの?』
それは、なにをやってるんだろうっていう自己嫌悪と、もうなんだっていいやっていう諦めた気持ちと。
〝大丈夫?〟
うざったいくらい聞かれたその言葉に……。
〝大丈夫じゃない〟
そう、言いかけた自分の弱さに、泣けてきただけだ。