「おはよう、悠真くん」
「悠真ー。昨日メッセージシカトしたでしょ!」
「なあ、佐原。今日学食?」
学校に近づくにつれて、すれ違う人たちもほとんど見慣れた顔に変わっていた。
俺は三年、二年、一年と学年関係なく友達がたくさんいる。
友達になろうと言ったわけでも、なってと強制されたわけでもなく、自然と多くなっていく友達は今にはじまったことじゃない。
保育園も小学校も中学校もひとりになったことはなかったし、いつも目立つグループの中にいた。
『悠真といると楽しい』『佐原はいいヤツだ』なんて、言われることも多いけど、みんな俺のことを過大評価しすぎだと思う。
見た目で得したことはあっても中身は適当人間だし、物事は全部なるようになるとしか思ってない。
なのに今、なるようにならなさそうな女に出逢い、俺が四苦八苦してることなんて大勢の友達は誰ひとりとして知らないだろう。
【おはよう】
そんな一行のメッセージを送ろうか迷ってる自分の臆病さにビックリする。