弟は俺と違って朝に強い。おまけに文化部に入ってるのにきっちりと朝練に参加する真面目な性格。
ゲームばっかりやってるくせに無駄に頭が良くて、テストも怖いくらい満点を取ってくる。きっと俺の頭脳は全部弟に持ってかれたんだと思う。
「つーか、その起こし方やめろ」
弟は涼しい顔をして俺の身体を足で踏んでいた。
制服も着崩さないくせに、俺への扱いはたまに雑。力は俺のほうが圧倒的に強いけど、兄弟喧嘩は好きじゃないからあんまりしない。
「5回も声かけてんのに起きない兄ちゃんが悪いでしょ」
「そんなかけられてねーし。つか、あと一時間寝るからほっといて」
「やめたほうがいいよ。今日機嫌悪いから」
「悪いって誰が……」
尋ねたタイミングと同時にドタドタを足音を響かせた母さんが部屋に入ってきた。
「こら悠真っ!さっさと支度して朝ごはん食べちゃいなさい!!」
たしかに機嫌が悪い。占いの結果でも悪かったんだろうか。うちの家では母さんは絶対的な存在だから誰も逆らわないと決めている。