次の日。枕元でスマホが鳴っていた。遅刻常習犯の俺がアラームを設定するわけがないので、多分友達からの電話。

用なんてないことは分かっているから強制的に切って、カーテンから漏れてる朝日を遮断するように布団を被った。


……ああ、眠い。学校面倒くさい。


昨日はあれからバッティングセンターに行かずに俺だけが家に帰った。

冷蔵庫にあった俺のぶんの晩飯をチンして食べたあと、素早くシャワーを浴びて早めに寝るつもりだったのに、あの日のことを考えるとなかなか思うように寝付けなかった。

なのに、あいつは簡単に『忘れて』とか言う。

誰が忘れてやるかっての。だって、忘れたらなかったことになる。


あの、涙の理由さえ俺は探れない。



「兄ちゃん、朝」

ひとりで悶々としていると、気配もなく思いきり布団を剥ぎ取られてしまった。


足の踏み場がないほど乱雑になってる物を器用に避けて部屋に侵入してきたのは、一歳下の弟だった。