そうこうしてる内に夕方になり、事前に頼んでおいたケーキが届いた。
海月は俺に任せると言ってくれたので、前に一緒に行ったケーキ屋で苺のショートケーキを注文した。
クリスマス仕様になっているボックスを開けると、宝石みたいな苺がたくさん詰められていて、真ん中にサンタとトナカイのメレンゲドールが仲良く並んでいる。
「食べるの勿体ないね」
海月が目に焼き付けるようにケーキを見ていた。
「なんかやっとクリスマスっぽくなってきたな」
ケーキを届けてくれた人もサンタの格好をしてたし。
「今までクリスマスっぽくなかった?」
「うん。だって俺、ゲーム負けたし」
「まだ根に持ってるんだ」
「ちげーよ。俺は勝って海月にいいところを見せたかったんだよ」
そんな子どもみたいな俺に海月はクスリと笑った。
「私、クリスマスって街も人も明るくて苦手だった。そういうのは自分には関係ないって冷めたように感じてたけど、ひとりじゃないクリスマスってこんなに楽しいんだね」
俺もこんな風に大切な人と過ごすクリスマスは初めてだ。