次にリビングに持ってきたのは俺の幼少期が写っているアルバムだった。もちろんこれも海月の要望。

普段あまりこれがしたい、あれがしたいと言わない海月が今日はたくさん希望を言ってくれる。


「可愛いね」

海月が見ていたのは俺が生まれたばかりの赤ちゃんの写真。おそらく退院した日に撮ったのだろう。白いおくるみに包まれている俺は穏やかな顔をして寝ていた。


「でも少し小さい?」

「あーなんか俺、未熟児だったらしいよ。生まれてすぐに保育器に入れられて退院するまで1か月かかったって母さんが言ってた」


まあ、今ではこんなにもでかく成長してしまったけれど。


「そうだったんだ。なんかこの子が佐原だなんてちょっと不思議」


そう言って海月は柔らかい指先で俺の写真を触った。なんだかすごくくすぐったい気分だ。



「……私ね、自分の赤ちゃんの頃の写真って見たことがないの」

海月がぽつりと息をはくように言った。