「ねえ、悠真もこれからバッティングセンター行くでしょ?」

俺の隣に座って身体を寄せてきたのはクラスメイトの女子だった。別に呼んでもないのに気づいたら合流していて、みんなロータリーから移動を始めるようだ。



「ってか絶対付いてくるだろ。あれ」


視線の先には交番の前でスタンバイしてる警察がふたり。高校生は11時から補導できるらしく、帰る気配のない俺たちに目を光らせていた。



「えー関係ないっしょ。別に親に連絡されても平気だし」

夜遊びしてる連中は基本的に反抗してる奴らばかりだから、甘やかされているというより、見放されてる奴らのほうが多い。


「悠真が来ないとつまんないよ。一緒に行こうよ」

そう言って女子はぎゅっと俺の腕に手を絡めてきた。



カラオケにいた時は機嫌がよかった俺も今は虫の居所が悪い。

だって、電話をしてもシカトされるし、返事が来たかと思えば【なんか用?】と軽くあしらわれる。


今どんなことをしてるか知りたいだけの連絡はダメなのかよ。

なんなんだよ、もう寝るって。少しは会話ぐらいしろよ。