「あれ、お母さんや三鶴くんは……?」 

「母さんと親父はデート。三鶴は友達の家に行った」

「そうなの?」


海月が少し残念そうなのが気にくわない。
 

実は海月がクリスマスにうちに来ることを伝えたら母さんは『みんなでクリスマスパーティーをしよう!』と案の定、張り切り出したので『これで親父と旨いものでも食べてくれば』と、貰った給料からお金を少しだけ渡した。


まあ、要するに俺は金で母さんたちに出掛けてもらったというわけ。


ちなみに三鶴のことも空気を読めよという態度をしたら、文句も言わずに出掛けてくれた。 

 

「俺とふたりきりじゃ嫌なの?」


俺は初めからそのつもりだったのに。



「嫌じゃないよ。でも佐原の家でふたりきりだと変な感じがするだけ」


海月がいつもよりオシャレをしてることは家に迎えにいった時から気づいてた。



クリスマスだということを海月も意識してくれてることが嬉しくて可愛くて。やっぱりみんなを出掛けさせてよかった。